行き交うことばたち 2023/10/24〜10/29

10/24(火)
子どもを園に送ったあと、コーディネーターを担当している重度訪問介護利用者さん宅を訪ねる。一度Zoomを挟んで2回目のご訪問。

ご挨拶をして、ベッドの横に座り、壁にかけてあるテレビのニュース(イスラエル・パレスチナのこと)を一緒に見ながらひとしきり談笑。窓から部屋に入ってくる陽が暖かい。

奥様にiPadをお借りして、その場で色々ググって四苦八苦しながら、アクセシビリティ機能の「音声コントロール」でご本人が自分でニュースを読んだりLINEを送ったりできるように、なんとか滞在中にセットアップに成功した。ベッドの上の台にiPadを置いて、「Safariを開く」「番号を表示」「43」「下にスクロール」と一つひとつ。ヘルパーさんも一緒に4人で喜びを分かち合った。

もちろん先人たちの積み重ねによるものなのだが、今のご時世、スマホやパソコン、ブラウザに標準で実装されているアクセシビリティ機能で、相当いろんなことができるようになっているのだが、知識としてざっくり知っていても、一人ひとりの身体や生活場面に合わせて実際にやってみるのは大きな違いだよな、当たり前だけど。喜んでもらえて良かった。

記念すべき音声コントロールデビューの様子は動画に取って4人のLINEで共有したのだが、それはここには載せず、かわりに翌日自分のデバイスでやってみたのを以下YouTubeにアップしておく。

10/25(水)
ゆにくん宅で介助。もう月末か。あっという間だ。シフト交代時の朝食時間に一緒に『パリピ孔明』のドラマ版を観た。面白いじゃん。

月末25〜31日ぐらいは、会社口座と個人口座、それぞれ各種引き落とし、振込のタイミングと金額にちょっとヒヤヒヤしたりしょんぼりしたりする。相変わらず自転車操業(と、打とうとしたらタイポで「次電車創業」と出た)である。未来に向けた余白をつくる必要がある。

10/26(木)
今日から2泊3日で韓国・ソウルの障害学国際セミナー2023に参加。子どもを園に送ってから羽田空港へ。一緒に行きましょうと連絡もらっていた栗川治さん夫妻と合流。視覚障害のあるクリ皮さんは優先レーンから入れるようで、同行者の僕も便乗してササッと出国手続きができた。ラッキー。優先レーン前の案内版には、白杖ユーザー、車椅子ユーザー、妊婦のピクトグラムと一緒にヘルプマークのアイコンもあった。ヘルプマーク、こないだ足でふんづけてちぎれてしまったのだ。
空港内ではWHILLの試乗サービスがあり、搭乗ゲートまでぜひご試乗ください、と案内されていた。

羽田空港のWHILL試乗サービス。「どなたでも利用頂けます!搭乗ゲートまで是非ご試乗ください!」とテプラが後部に挟んであった。

フライトは2時間足らず。出発前のラウンジと飛行機のテーブルで、やり残したテキスト仕事を1つだけ必死にカタカタ。なんとか終わらせた。

栗川さんと機内で研究のことやお互いの近況、立岩先生のこと、2019年に栗川さんが武漢でセミナーに参加したときのこと、スクリーンリーダーでのテキスト読み上げのことなど、あれこれお話した。


飛行機が降り立ってからずっと必死に鼻をフンって耳抜きしてた。私これ時間かかるんだ。ようやく夜ホテルで寝る前ぐらいに平常状態に戻った。

無事ソウルの金浦空港に到着。入国手続きもまた長蛇の列であったが、これまた栗川さんに便乗して優先レーンですぐに出られた。並んでいる間、wifi繋いでロマサガRSのガチャを引いた(フライト直前の12時に更新があったんだよ)。引きはそこそこ。

空港で長瀬修さん植村要さんと合流しご挨拶。一緒にタクシーで宿まで行きましょうとなり、タクシー乗り場に向かったのだが、古今東西どの国の国際空港にいるであろうモグリ?のタクシードライバーのおっちゃんに声をかけられ、止めに入る間もなくスーツケースを持ってぐいぐい駐車場まで案内され、そのまま乗っていくことになり、で、6人で5万ウォンということで、道中フリーwifi繋いで調べて相場からすると明らかに高いのだが、もうなんか5人とももういいやしょうがない、5人で割ればダメージは分散されるしという感じで、ほどほどのボッタクリを甘受してホテルに行きましたとさ。

チェックインして、少し休憩してからロビーで集合し、鄭喜慶(じょん・ひぎょん)さんに案内していただき、電車を乗り継いでウェルカムディナーの会場へ。

大学時代にソウル・プサンと韓国には3回(たぶん)行ったことがあるが、もう15年ぐらい前のことだ。前日にKindleに落としておいた『1時間でハングルが読めるようになる本: ヒチョル式長足ハングル覚え方講座』をときおり開きがら、テトリスみたいな感覚でパーツを組み合わせて音を読む。ハングルに加えて、日英中翻訳が併記されている案内板も多く、読めなくてもほとんど困らないのだが、ちょっとした遊びでである。

駅の券売機も言語切り替え可能で、日本語・英語で行き先を見つけられれば問題なく買える。お釣りを出すときにディスプレイに表示された日本語「お金を放っています」が勢いよくて好き。

駅構内の非常用ボックスにはガスマスクが設置されていた。日本のそれとの備蓄物の違いは、各国が想定するリスクの違いを表しているのだろう。

駅構内の非常用ボックスの写真。下段に担架、上段にガスマスクがいくつか置かれている。

ロッテホテルでのウェルカムディナーに参加し、みなさんと交流しながらビュッフェ形式で食事。
ホテルに帰ってから少しだけ近隣を散歩。ウイスキーバーがあったので入ってみた。他に客はいなく、若い女性店員さん2人がスマホいじってのんびり過ごしていた。メニューを見せてもらい、そこにはボトルの値段しか書かれていなかったのでグラスはないかと聞いたら、3000ウォンだと。やっす。店員さんよくもわかってない感じだったので正規の値段なのか適当ゆるふわ対応なのかわからんけど、やっす。グレンリベット12年を1杯飲んで帰って寝ました。

10/27(金)
セミナー本番1日目。ホテルのフロントで集合して、徒歩5分ほどで会場のイルムセンターへ。セッションはみんな基本それぞれ母語で話して、イヤホンで日中韓同時通訳という形式。

冒頭、ヒギョンさん作成の立岩真也先生追悼ムービー上映。

ランチのあとにポスターセッション。それぞれ壁に貼り出したポスターの前に立って、来てくれた人と話す。作成したポスターは以下のブログにアップした。

Archiving Narratives By People Living With Illness In Public Libraries In Accessible And Useful Ways For Citizens; A Case Study Of Tobyoki Bunko" In Japan.

(日本語版)日本の図書館における「闘病記文庫」の開設と展開 

お互いに母語が異なり、視覚障害のあるメンバーも少なくなく、みんなで色んな言語やデバイス身振り手振りを駆使してコミュニケーションをとる。運営のみなさんがアサインしてくださった通訳者だけでなく、その場にいる参加者がお互いに声かけあって助けあいがら「あいだ」を結んでいく。

夕食はサムギョプサル。お腹いっぱい。ごちそうさまでした。

ホテルに戻ってから2軒目いきましょうかとなり、中村雅也さん植村要さん桐原尚之さんと4人で、昨日僕が「下見」したウイスキーバーへ(途中で長谷川唯さんも合流)。12時過ぎに解散。

10/28(土)
朝、部屋のトイレが詰まって水が溢れ、シャワールームが水浸しに。手を突っ込んでティッシュを抜いたら流れたが、えらいこっちゃ。同室の種村光太郎さんがスタッフの人を呼んで清掃を頼んでくれた。原因わかんないけど、もし僕のうんこのせいだったらすみません。一足先にチェックアウトするのに、立つ鳥跡を濁してしまった。

夕方にセミナーのすべてのプログラムが終わり、みんなで記念撮影をして解散。ありがとうございました。日本のメンバー何人かとホテルに一緒に戻ってご挨拶してから空港へ向かった。

国会議事堂前でデモをやっていて、セミナー終わって外に出たときがちょうど解散のタイミングだったようだ。劉晋炅(ゆ・じんぎょん)さんにどういうデモなのか概略を聞いたが、韓国では近年学校教師の自殺が相次ぎ、社会問題となっているそうで、教師たちの保護や権利保障を求めてのデモとのことだ(日本語でググったら少し前のニュースが出てきた)。今回のデモ、激しく怒りをぶつけるのではなく理知的で穏やかなトーンで行われたとのことで、言葉はわからないがその場の雰囲気や人々の様子からもそう感じられた。スピーカーで流れていたのは、「今日もおつかれさま」という、現場の教師を労うような選曲・歌詞とのことだった。

最終便で予定通り日本に帰国。日付変わる少し前に帰宅。

10/29(日)
国際文化会館で、年に一度のインターミディエイターフォーラム。なんとか寝坊せずに9:30に開場到着。起きる直前に見た夢が、客人のチンパンジーが家の中にうんこ撒き散らして、なぜかオムツからムスコのうんこも大量にはみ出して2人分のそれが床とか壁とか色んなところに飛び散って、上のムスメは号泣してて、ツマは外出中で、俺はフォーラム間に合わない!って半泣きになりながらうんこ拭いてたらツマが帰ってきてシャワー浴びにいった、というものだった。夢でよかった。

フォーラムには、会場・オンラインともに多くの仲間が参加してくれた。設樂先生のvision talkの後、午後のcross talkでは僕も話題提供者の一人として10分ほどお話した。

Networkのなかで、人・道具・制度が協働し、生活を創造するプロセスを共にしながら、そこから生まれる知と方法を展開することが、僕の仕事だ。まだまだ創意工夫の余地がたくさんあるな。

帰宅して3日ぶりに家族で過ごす。さすがにクタクタですぐ寝た。