みなさま
こんばんは。鈴木悠平です。前回の第3号から1ヵ月半以上も経ってしまいました。すみません。
「満身創痍」の「創」は「創造」の「創」だ、などという話を書いた前回から、輪をかけて弱っておりました。いや、今も弱っております。
しかしこれも、身体と、言葉と、関係を編み直すためのサインであり、機会なのだと捉えています。
ポロポロ泣きながらみんなに助けを求めて、抱えているものを手放せるだけ手放して余白をつくろうとしている最中です。
痛みと回復は同じプロセスの中にあり、僕も、あなたも、何があってもきっと大丈夫、ということを識っています。ただちょっと、いつも以上に、うまくテキストが書けなさそうです。そんな第4号ですが、どうぞご容赦ください。
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1. どもりながらことばをさがす
2. 閒の出版事業第1弾、黒木萌さんのエッセイ集『土に呼ばれて』
3. この1,2ヵ月ぐらいのこと(報告)
・10,11月に閒の仲間たちと公開したブログ
・10/26〜10/28「障害学国際セミナー 2023」@ソウル
・インターミディエイターフォーラム2023 空にするほど充たされる——。
・世界に類をみないALSの「日本型ケアモデル」を、当事者が国際大会で発信する、髙野元さんのクラウドファンディング
4. これから1,2ヵ月ぐらいのこと(お知らせ)
・11/25(土)イベント すべての人が、尊厳をもって活かし合える組織に向けてー精神科訪問看護コモレビの、対話文化づくりの取り組み
・12/1(金)から第2回「刑務所アート展」に向けたクラウドファンディングを開始予定
・1/14(日)「文学フリマ京都8」出展予定
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1. どもりながらことばをさがす
"どもりはあともどりではない。前進だ。”
武満徹『音、沈黙と測りあえるほどに』, 1971年, 新潮社
この、武満徹の言葉と本を教えてくださった、西きょうじさんに、もう10数年前になりますが、「君はちゃんと吃ることができるからいい」と言ってもらったことがあります。
https://awai.jp.net/blog/menherasan-no-sustainability-domoru
ここ1,2週間、久しぶりにかなり吃りがひどくなり、しかしこの吃りは、ちょっとよろしくない吃り方というか、それこそあともどりのどもりというか、自分にとって本当に大切な問いに向き合いきらずに頭と舌でごまかしごまかし話したり読んだり書いたりしているのに対して、身体が警告を出しているような感じでした。
"To make writing a habitual part of the research idea-generation process.とある。僕にとって書くことはずっと、問い、考え、世界とつながりなおし、生きなおすことと不可分の、habitual partだったはずなのだが、こと「研究」となると、いや正確には「大学院」の「博士課程」の「学位論文」に向けた「学術研究」の計画となると途端に自分の心身と「書くこと」が分離してしまうような、何も読んでいない書いていない出していないわけではないのだが、しかしこれは、どうも、決定的に、間違った身体の用い方、筆の運び方をしているような、「生みの苦しみ」とは違う、よろしくない苦しみ方をしているであろうことは確かであった。"
https://awai.jp.net/blog/yuhei-research-memo20231113
ここ3年ずっと、色んな人に助けられてどうにかこうにか生き延びてきたものの、そのままでは語れない、書けない、しかし書かないと進めないことを抱えたままでいます。
小説、フィクション、つまり、虚構、ウソを通して本当を書くしかおそらく道はないのだろうと、薄々自分でもわかっていたのですが、月曜日、久しぶりにお会いした方に言ってもらって、大学院の博士課程をまた休学することにし、一緒に仕事をしている仲間に連絡をとっていくつかお休みをいただくことにしました。
ことばと出逢いなおすための創造的サバティカルというか、心と身体と脳みそと時間の余白が必要なのだろうと思います。
先日久しぶりに腹からねじり出したような詩です。
↓
「或る吃音者の断唱」
あばら骨の裏側にいる
ことばに触ろうとし、ている、ところ
ひどく 不揃いで
君のその す、すなどけいを
せき止めてしまいそうだが
みな 悪いやつらではないから 安心 してくれ
2. 閒の出版事業第1弾、黒木萌さんのエッセイ集『土に呼ばれて』
”畑をやることにした。
きっかけは生理不順で婦人科を受診したことだ。血液検査で引っかかり、別の病院の内科を紹介された。今年アラフォー世代に突入する私は、食事を改善し運動しなければ後がない。ものぐさなので、スポーツジムに通ったとしても行かなくなるのが目に見えている。秋にはあんなに大好きだった散歩も冬の寒さで億劫になってしまった。
だから前からやりたかった畑をやることに決めた。年が明けてすぐに友人と市民農園へ見学に行くと、そこは自宅から徒歩20分ほどの場所で、歩いて通うのにちょうどよい距離感だった。往復するだけでも良い運動習慣になりそうだ。
料金も格安で、25平米をなんと年間2000円で借りることができるという。畑の近くで調達できるか心配していた水は、昔ながらのポンプを使って地下水を汲んで使用するらしい。これを見て心が踊った。
「1 市民農園を借りた」 https://awai.jp.net/blog/tsuchi ”
こんな書き出しから始まる、黒木萌さんのエッセイ集『土に呼ばれて』を、閒の書籍出版第1弾として販売します。
萌さんが畑を始めるという話を聞いて、2022年2月から、毎月5日に更新してもらっている同名web連載があります。
『土に呼ばれて』 https://awai.jp.net/tsuchi
この連載の、つまり萌さんが畑を始めてからの、最初の1年分を一冊に綴じたものです。季節が巡って2年目に入り、今も連載を続けてもらっています。
今回出版する書籍の正式タイトルは『土に呼ばれて 1巡目 2022年2月~2023年1月』としています。
毎年一回、季節が巡るごとに1冊つくり、それが毎年みなさんのお手元に届き、棚に並んでいくと素敵だなと考えてのことです。
萌さんのご友人のデザイナーさんに力を貸してもらい、3人で話し合いながらつくりました。
土と作物の呼吸、風と太陽のにおい、畑を耕しあそぶ萌さんと息子さん、ご友人、ご近所さん、ミミズさんたちの声が聴こえてくるような、素敵なデザインです。ブログや次回のメルマガで写真をお見せしますね。お楽しみに。
全面カラー、1冊1500円(税別)です。初版、150部印刷しました。印刷・製本費、それからISBNコード・日本図書コード等の諸経費を、閒と著者の萌さんで折半して、だいたい60部売れれば元が取れる、という計算です。
この本が出来るまでと、出来上がってから読者のみなさんに届けていくための試行錯誤を振り返ったり、著者の萌さんによる朗読会を開いたり、本を媒介としたコミュニケーションとアーカイブにも取り組んでいくつもりです。
最小単位の、持続可能な出版と、出版を通した著者と読者の関係づくりの試みとして、まずは1冊目。
畑づくりに興味がある方はもちろん、暮らしと季節の巡りのなかで書くこと、書いたものを出版することに関心のある方、紙の本、活字が好きだなという方、この試みを応援してくれる方、ぜひご購入いただけると嬉しいです(追って電子書籍版もつくりたいと思っています)。
ご注文は、以下のフォームからお願いします。
3. この1,2ヵ月ぐらいのこと(報告)
・10,11月に閒の仲間たちと公開したブログ
エッセイ:
moe kurogi 20 遅々として進まない秋冬野菜の準備とコロナのことhttps://awai.jp.net/blog/tsuchi20
moe kurogi 21 金色の野に囲まれて
https://awai.jp.net/blog/tsuchi21
田代 智美 夫と私のよもやま話Vol.6
https://awai.jp.net/blog/satomilover06
小説:
田代 智美 with Shoichi Fujimoto 【短編小説】信号機
https://awai.jp.net/blog/satominovel01
詩:
Shoichi Fujimoto パリピ和歌集 1
https://awai.jp.net/blog/paripi-waka01
Yuhei Suzuki ある吃音者の断唱
https://awai.jp.net/blog/yuhei-poem-stutter
日記・記録:
田代 智美 そーまさんとの邂逅
https://awai.jp.net/blog/satomisouma
Yuhei Suzuki閒の定例会2023年9月
https://awai.jp.net/blog/awai-dialogue-202309
Yuhei Suzuki おおむね忘却の彼方 2023/9/27〜10/23
https://awai.jp.net/blog/20230927-1023-wed-mon
Yuhei Suzuki 行き交うことばたち 2023/10/24〜10/29
https://awai.jp.net/blog/20231024-1028-tue-sat
Yuhei Suzuki 介助される介助者#01 2023/11/08
https://awai.jp.net/blog/helpedhelper01
Yuhei Suzuki 秋のお出かけ2023:九州・東京の自立生活仲間が分身ロボットカフェDAWNで集う
https://awai.jp.net/blog/dawn-20231103
Yuhei Suzuki 「はじまり」から始める、もう一度 ― 研究ノート#1 TRY THIS NOW: Write Here, Right Now
https://awai.jp.net/blog/yuhei-research-memo20231113
ひと:
愼 允翼 (しん ゆに SHIN Yunik)
https://awai.jp.net/blog/shinyunik-profile
閒の仲間たちを紹介する「ひと」ページをつくってみました。これから一人ずつつくっていく予定。
・10/26〜10/28「障害学国際セミナー 2023」@ソウル
現地で発表したポスターのデータをアップしました。
日本の図書館における「闘病記文庫」の開設と展開 障害学国際セミナー2023発表ポスター日本語版
https://awai.jp.net/blog/eadsf-poster-ja-20231027
Archiving Narratives By People Living With Illness In Public Libraries In Accessible And Useful Ways For Citizens; A Case Study Of Tobyoki Bunko" In Japan.
https://awai.jp.net/blog/eadsf-poster-en-20231027
あわせて、9月の障害学会発表ポスターもアップしました。
医療的ケアニーズのある子どもと保護者の在宅生活における、保護者同士の繋がりがもたらす影響の分析 障害学会第20回大会ポスター発表https://awai.jp.net/blog/jsds20th-poster-20230916
・インターミディエイターフォーラム2023 空にするほど充たされる——。
あいだの知の担い手「インターミディエイター」にご関心のある方々がつどう年に1度のフォーラム、10月29日開催でした。僕もスピーカーの一人として登壇しました。見逃し視聴チケットもお申し込み受付中とのことです。ピンと来た方はぜひ。https://www.intermediator.jp/imf2023
・世界に類をみないALSの「日本型ケアモデル」を、当事者が国際大会で発信する、髙野元さんのクラウドファンディング
企画・執筆をお手伝いしました。目標金額200万円の倍、400万円を超える支援が集まりました。11月末までです。
https://camp-fire.jp/projects/view/715403
4. これから1,2ヵ月ぐらいのこと(お知らせ)
・11/25(土)イベント すべての人が、尊厳をもって活かし合える組織に向けてー精神科訪問看護コモレビの、対話文化づくりの取り組み
https://peatix.com/event/3756851/view
オープンダイアローグの理念と実践を取り入れ、「精神科訪問看護」という枠組みを活かして、一人ひとりが「ありたい姿」を実現する道のりをサポートする「コモレビ」の運営をここ数年お手伝いしています。
利用者さんとの「対話」を大切にするサービスの担い手である私たちも、お互いを活かし合いながら働ける組織文化や行動指針を、トップダウンではなく「対話」を通して育んでいきたいと考えています。
そんな、コモレビにおける対話文化づくりのプロセスをご紹介するZoomイベントを、11月25日(土)14:00~16:00に開催します。
看護師・保健師・精神保健福祉士の方をはじめ、地域でのメンタルケアや組織文化づくりにご関心のある方に、ぜひご参加いただければ幸いです。
・12/1(金)から第2回「刑務所アート展」に向けたクラウドファンディングを開始予定
風間勇助さんのイニシアチブで昨年実現した「刑務所アート展〜塀の内と外との交流型公募展〜」、来年3月22日〜3月30日に、北千住のギャラリー「BUoY」で第2回を実施します。
https://project.pacr-lab.net/
出展費用、カタログやウェブサイト制作、来年以降の持続可能な運営体制づくりのため、12月1日からクラウドファンディングを実施します。
また次のメルマガでお知らせします。応援していただけると嬉しいです。
・1/14(日)「文学フリマ京都8」出展予定
閒の仲間、さとみさん&さやかめさんと3人ユニットで、京都文フリに出展予定です。
https://bunfree.net/event/kyoto08/
3人それぞれ、エッセイ集を販売します。
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これを読んでくださっているみなさんも、共有したいこと、表現したいこと、相談したいこと、提案したいこと、一緒にやってみたいことetc.があれば、ぜひなんでも、いつでも、どこからでも、お気軽にお便りくださいね。
次回は、11月末…ではなく、12月3日(僕の36歳の誕生日)に配信予定です。
あなたに豊かな時間が訪れますように。
それではまた。