10 秋の畑

 10月も半ばになり、気温が下がって、散歩日和が続いていた。久しぶりに歩いて畑へ向かうと、季節外れの桜が咲いている。台風の影響で葉が落ち、花芽が咲くのを止めるアブシシン酸が送り込まれなくなったことが原因だとニュースでやっていたよ、と友人が教えてくれた。

 近くの田では稲刈りが行われている。台風の風で倒れた稲たちも無事収穫されている。それをあわいのSlackに書きこむと、東京に住む友人が「この時季にまだ刈られていない稲があるということを知るたび、九州と本州は時空が異なるのだなと思う」とコメントをくれた。同じ日本でも、場所によって季節の進み方が違うのだ。

 田畑のどこからか、ひばりのような鳴き声が聞こえる。春ほど盛んではないが、秋にもひばりが鳴くのだと初めて知った。

 雨が降ったあとの畑は、苗がぐんと成長して楽しい。雑草も一緒にぐんぐん伸びる。それにしても秋冬野菜は地味だ。私が根菜(大根、カブ)と葉菜ばかり選んだせいもあるかもしれないが、今のところ緑一色だ。夏野菜はあんなにカラフルだというのに。

 でもだからこそ、土からちらりとのぞく大根やカブの首が、かわいらしく感じられ、収穫の日を楽しみに待っている。