23 大根引きと迎春

 地中から覗いている部分を両手でもって、ぐりっぐりっと回し、土の中から少しずつとりだす。しばらくするとくぽっという感触がして、白肌の大根が全景をあらわにする。この瞬間が好きだ。今年も立派に育った。せっかくたくさんとれたから、方々におすそ分けしようとLINEを数通送ってみたけれど、どこも豊作のようで、善意の輪が広がっているみたいだ。実家に少しおすそ分けして、残りは自分で食べることにした。

 まず実と葉を切り分け、水を張った大きなボウルに葉を入れて、ゆらゆらと揺らし、汚れをとる。7~8ミリに刻み、そのまま冷たいフライパンに入れて、ごま油を流しいれる。火が通ったら、砂糖と醤油、白ごまで味をつける。これを温かい白ごはんに混ぜ込んで菜飯にするとおいしい。

 お次に実の漬物。7ミリくらいのいちょう切りにし、ジップロックに調味料とともに入れてしばらく置く。最後におでんの大根を電子レンジで簡単につくれるレシピをインターネットで見つけたので、それを大量に仕込んだ。特におでんの大根はつるりと食べてしまって、いくらでも食べられてしまう。旬の野菜は体にいいというから、きっとわたしの体も喜んでいることだろう。

 大根をだいぶ消費したころ、年末がやってきて、わたしは風邪を引いた。息子はインフルエンザのA型に感染。わたしは春だったかに一度感染していたから、免疫があったのかもしれない、検査は陰性だった。風邪がようやく軽快したころ、新年を迎えた。今年の抱負を、数日時間をかけて考えようと思っていて、最初に「畑に行けるくらいの程よい忙しさにしたいな」と思った。昨年はほとんど畑へ行けなかったからだ。生活のなかに自然と畑の営みがある感じにしたい。

 それには、畑へ行く時間を確保できるよう、時間的・体力的・精神的な余白をもっている方がいい。そう考えて、昨年は途中からやらなくなった朝の散歩を今年も取りいれることにした。習慣にしてしまうのがいい。24時間のタイムスケジュールを書いてみて、自分のキャパシティを見積もったりもした。

 紙媒体の「土に呼ばれて」も引き続き読んでくれる人のもとへ届けていきたい。延岡市駅前複合施設「エンクロス」や船倉町にある絵本屋「ノックブック」での期間限定での取り扱いが決まっているほか、伊達町の「ギャラリーかわなか」でも扱ってもらっている。「四季のアロマヨガ」の右田先生のStand.FMでもご紹介いただける。この人たちとのご縁を大切に育みつつ、新たな輪を広げていきたい。

 見慣れた農道は変わらず日々違う表情を見せてくれている。今年もさまざまな顔を見ることができるだろう。