拒食や過食といった「ふつうに食べられない」経験をした6名の女性たちへのインタビューを通して、「摂食障害」という枠組みでくくる医療モデルだけでは見えてこない、食の本質に迫ろうとする磯野真穂氏の著書『なぜふつうに食べられないのか 拒食と過食の文化人類学』を題材に読書会を行います。ご関心のある方は以下の詳細確認の上コンタクトフォームからご連絡ください。
■扱う本 磯野 真穂 著『なぜふつうに食べられないのか 拒食と過食の文化人類学』, 春秋社, 2015年1月20日出版
医療が語り得ぬもの。質的研究の実践、食体験準拠論の試み。4年間111時間に及ぶインタビューを通し、6人の「語り」のなかに食の本質を探る試み。
目次:
はじめに
序章
第1部 ふつうに食べられない人生
第1章 視線・応答・避難 結城理央の場合
第2章 飲まない半生 長田奈々の場合
第3章 拡張する自己 荻原由佳の場合
第4章 外見がすべて 田辺敬子の場合
第5章 誰が「やせ」を望むのか
1 美しいやせた身体―身体観の変容
2 やせ願望とジェンダー
第2部 医学的視座 「摂食障害」の治し方
第6章 還元主義 「個人を見よ」という医学の教え
1 還元主義とは何かー本質論と生体物質論
2 還元主義に基づく代表的な治療
3 還元主義まとめ
第7章 還元主義の検証 とりこぼされたもの
1 的を射る
2 “後出しじゃんけん”
3 体験の排除
第8章 カロリー地獄 澤拓美の場合
第9章 「おいしさ」のない食事 概念による体験の抑圧
1 吸収させるものとしての食べ物
2 看守としての精神、囚人としての身体
3 消えるおいしさ
4 概念優位・体験否定型世界観ー周縁化される体験
5 生体物質論的実践の利点と限界
第10章 ぶれる 武藤さゆりの場合
第11章 「家族モデル」の閉じられた救済
1 娘と母の物語
2 「母が悪い」という救い
3 「母が悪い」という社会
第3部 食体験準拠論 体験が語る食の本質
第12章 フロー 過食の「楽しさ」
1 過食嘔吐の体験
2 下剤乱用の体験
3 チューイングのやり方とその体験
4 おいしくない過食ー食べているようで食べていない
5 フロー―楽しさの起源
6 過食の構造とフロー
第13章 反転する日常 キャベツで過食ができない理由
1 成功のカギは「悪さ」
2 日常反転の試み―祝祭としての過食
3 菓子パンに捧ぐ
終章 食の本質 私たちが食べるわけ
1 なぜふつうに食べられるのか
2 なぜ普通に食べられないのか―食の準拠点の移動
3 還元主義の盲点
4 食の本質
おわりに
注
参考文献
■日時
2022年9月25日(日)17:00-18:30(日本時間)
最大19:00頃まで延長 途中入退出可
■参加方法
参加希望の方は、主催者・招待者にメール・メッセンジャー等でその旨を直接お伝えいただくか、コンタクトフォームにご連絡ください。オンライン通話ツール「Zoom」のURLをお伝えします。事前に以下、読書会の趣旨や運営方法をご確認の上、ご参加いただきますようお願いします。
■閒の読書会について
株式会社閒が主催する、クローズドの読書会です。参加者のみなさんのご関心をお聞きしながら、閒を運営する鈴木悠平と、分析的道徳哲学者の石田柊さんの2名で選書・企画しています。
■読書会のグランドルール
何を語ってもいい。語らなくてもいい。他者に質問された際も、答えられる範囲で答え、答えたくない場合は答えなくていい。
読書会内での発言・議論をもとに、個々人の思想・人格のジャッジメントや誹謗中傷を行わない。
自分以外の参加者が語ったことを、本人の同意なく外部に発信・紹介しない。
具体的なエピソード例示の際に、他者のアウティング・プライバシー侵害・誹謗中傷を行わない。
より具体的な実施・運営方法は次項の通りですが、基本的には、このグランドルールを理解・共有の上ご参加いただける方であれば、どなたも大歓迎です。職業や仕事の分野、専門性、当事者性etc.といった要素での参加要件はございませんので、どうぞそういった点でのご遠慮・躊躇はなさらずお気軽に!!
■読書会の実施方法・参加方法
本に書かれていること、それが書かれた背景や文脈、著者の意図、出版目的や想定読者像といったことを理解・推測する、つまり「本そのものを読み解く」姿勢は一定持ちつつも、多様な人が参加する「読書会」としてのダイナミズムも大切にし、楽しみながら対話をできればと思っております。
書籍の内容に対する質問や議論、感想の共有だけでなく、本を起点に、ご自身のご経験や関心に引きつけてエピソードをご共有いただいたり、別の話題に展開していったりすることも許容・歓迎しています。
…という趣旨のもと、以下のような運営スタイルを取っています。
本を読み終わっていても読み終わっていなくてもOK、まったく読んでいなくても参加可
ただし、発言量の平等性を最優先に置きません。主催者が適宜話を振りつつ、銘々に言いたいことを言うスタイル。話が広がったり飛んだりしながら、まとめすぎず、という感じです。
Zoomは、顔出しでも、アイコン・アバターでも、ビデオOFFでも、どれでもOK
口頭発声でも、チャット発言でも、両方使うでも、どんな発言方法でもOK
もちろん、聴いているだけでもOK。途中入退出もOK。
■アクセシビリティ・アーカイブについて
アクセシビリティ担保のために追加で必要なことがあれば、参加者からのご相談内容に応じて、可能な範囲の環境整備を試みます。例: UDトークでの文字起こし、手話通訳者の同伴など
読書会実施中のZoomは録音・録画します。チャット履歴も記録します。
①読書会に参加した方②読書会に参加希望したが、日程が合わず、アーカイブ視聴を希望された方③閒のSlackコミュニティ参加者(守秘義務同意済み)に限定して録画等データを共有します。
ZoomのアーカイブURLを、上記①②③の方にご共有します。アーカイブは1週間程度でZoomのクラウドからは削除します。ローカル保存をおすすめします。
アーカイブ映像はご自身での学習・振り返り用にお使いください。①②③以外の方への共有・拡散はしないでください。
■閒の読書会でこれまで扱った書籍
#1 デボラ・ヘルマン 著, 池田喬・堀田義太郎 訳『差別はいつ悪質になるのか?』(4・5・6章)
#2 デボラ・ヘルマン 著, 池田喬・堀田義太郎 訳『差別はいつ悪質になるのか?』(1・2・3章)
#3 青山拓央 著『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』
#4 広瀬巌 著『パンデミックの倫理学』
#5 児玉真美 著『アシュリー事件』
#6 熊谷晋一郎 著『当事者研究 等身大の<わたし>の発見と回復』
#7 生島浩 編著『触法障害者の地域生活支援その実践と課題』
#8 矢吹康夫 著『当私がアルビノについて調べ考えて書いた本――当事者から始める社会学』(1・2・3・4章)
#9 矢吹康夫 著『私がアルビノについて調べ考えて書いた本――当事者から始める社会学』(5・6・7・8・終章)
#10 東畑開人 著『日本のありふれた心理療法 ローカルな日常臨床のための心理学と医療人類学』
#11 伊藤亜紗 著『手の倫理』
#12 トム・ニコルズ 著, 高里ひろ 訳『専門知は、もういらないのか 無知礼賛と民主主義』
#13 美馬達也 著『リスク化される身体 現代医学と統治のテクノロジー』
#14 ジョン・スチュアート・ミル 著, 斉藤悦則 訳『自由論』(斉藤訳は光文社古典新訳文庫 他の出版社からも複数訳書あり)
#15 堀正嗣 著『障害学は共生社会をつくれるか 人間解放を求める知的実践』
#16 石田光規 著『「人それぞれ」がさみしい 「やさしく・冷たい」人間関係を考える』
#17 宮地尚子 編『環状島へようこそ トラウマのポリフォニー』
#18 横道誠 著『イスタンブールで青に溺れる 発達障害者の世界周航記』
#19 樋口直美 著『「できる」と「できない」の間の人――脳は時間をさかのぼる』
#20 荒井裕樹 著『凜として灯る』,
これまでの読書会をもとにした石田さんの連載記事もぜひご覧ください。