予定日の2日前だった。
「うーん、今日はいつもよりけっこうお腹張ってるんだよなぁ。今晩あたりくるかも」
「おお、マジで?そしたらえーと、呼ばれたらすぐ行けるようにはしとくわ。アポ入ってるけど呼ばれたときは行けないからよろしくって同行者に伝えとく」
「まぁ昼間は大丈夫だと思うんだけどねぇ。とりあえず今日検診だから行ってくる。また連絡する」
そんな感じで12/20の朝は始まった。
この日は商談も2件入っていて、その他色々作業も立て込み気味だったのだけど、ツマからの上記の連絡を受けて、もしもに備えてのあれやこれやの手配を職場で行った。
「たぶん大丈夫だと思うけど、もし陣痛起こったらアポは任せることになるから、資料は僕じゃなくてあなたが持ってて。ほんでその時は『編集長子ども産まれるみたいで、すみません』ってトークのネタにしてください笑」
なんて冗談を言ったりしつつ、内心ちょっとそわそわしつつ、まぁでも仕事が手に付かないほどでもないし、みたいな感じで昼過ぎ。検診が終わったツマから「いったん大丈夫だろうと自宅待機になった」と連絡があり、「あぁ、やっぱり明日以降かな」などと安心して夕方の商談を終えたところ、再びのツマからのLINE。
「今から再度病院に行くことになりました」
そこからはもう、早かったような長かったような、そういう一晩でした。
結論から言うと、うちの場合、出産に当ってオットはほとんどやることがなかったです笑
産まれる直前に分娩台に呼ばれた…と思ったら「産まれたー!」ってなもんで。
その間僕は何してたかというと、ほぼツイッターやってましたね…
ツマからの上記LINEの後、ほどなくしてそのまま入院が決まった旨。とはいえオットはすぐには行く必要が無いのだと。必要になったら病院から電話があって呼ばれる流れらしい。
なので、結局オフィスで小1時間面談やら作業をして、ツマとツマのお父様から「まだ呼ばれないけど、遅くなる前に高尾に移動して、うちで待機しといたら?」と言われたので、中目でうどんを食ってから移動。
そのあと、ツマの実家でもまたしばらく待機して、ようやく呼ばれて産婦人科へ。
(原稿は結局仕上がらなかった。そわそわw)
で、到着後は、よーしイメトレ通りにがんばってツマをサポートするぞぉとか勇んでたわけですけど、上に書いた通りそういうのなかったですw
出番が全然来ない。
ちょっとまだなんかエモいこと言う余裕がある。
かと思えばこんなアドバイスをいただいたり
真に受けてグーグル先生に聞いたりしてたんですけど、一向にオットの出番が来ません。
日付が変わる少し前に先生が出てきた。
ちょっと陣痛のペースが遅くなってきているらしい。疲れも出ているとか。お産というのは本当に大変な仕事なのだなぁとしみじみ思ったものだ。
ということで、再び待機…
そして12:09
いよいよか?いよいよ出番なのか!?俺の!
と、思ったらまだだった。「あ、あ、はい」ってなったよわたし。そのまま廊下に棒立ち
…と思ったら、今度こそ呼ばれた!
イメトレバッチリ、「がんばれー!」ってツマの背中さすったりして応援するぞー!
って気合入れて入っていったらわずか5秒後ぐらいに「産まれたよ、もう産まれてるよ…」ってツマ
1月21日0時29分、3600gの大きな元気な女の子が産まれました。
………わたし、ほんとにツイートしてただけですね。はい。
でもなんというか、断片的に実況している間にTwitterでもFacebookでもたくさんの応援や祝福の声をいただいて、ツマのお父さまもお母さまも夜遅くまでご一緒していただいて(翌日仕事なのに)、みなさんに感謝の念しかないし、産婦人科の先生や看護師さんたちは、こういう夜を年中何回も何回も経験されていると思うと、もう頭が下がる思いだし…
わたしはもうほんとエモくなってボキャブラリーが無になりましたよ。
…そんな感じで、パパ未満がパパになる日は、なんだかドラマチックなようなあっさりしたような、かっこつかないようないつも通りのような、そんな一日でした。
わたしらしいと言えばわたしらしいけれど、当初「産まれたとき、我が子をかわいいと思えるだろうか、そもそも感動とかするのか俺?」などと懸念していたよりは意外とすんなり素直に、産まれたことを喜べたし、赤子もかわいいなと思ったし、ツマには感謝とねぎらいの気持ちでいっぱいだし、意外とこう、大きなショックや戸惑いなしに、「そして父になる(現在完了形)」って感じでその瞬間を迎えました。
「子どもができるとね、もっともっと良い世界にしたいなって思うよ」とうちの社長が言っていたのをふと思い出した。
夜明け空に向かって宣言するほどの勇ましさも爽やかさもないけれど、でも「確かに、そうだな」って。この子、この子を含め今や未来を生きる小さな生命たちが、安心して生きられる世の中に少しでも近づけたいなという気持ちはじわじわ内側から生まれてきたし、何よりまず第一に、ツマとムスメにとって安心安全な半径5mの暮らしを作ろうという気持ちになった。
というわけで、オロオロこじらせてきた産前パタニティブルーのプレパパ1名は、思った以上に前向きな一歩をここに踏み出したのであります。