夫と私のよもやま話Vol.3

ずっとぐるぐると悩んでいることがある。子どもをもつべきか否か、という問題である。まずそもそも子どもを「もつ」という表現に若干の違和感を抱えつつ、話を進めていきたいと思う。

そもそも私は子どもが大好きだった。かつてミスドで私が作業しているとき、近くにいた子ども(多分6歳くらい)が私のPCの画面を見ていたので、「なんのどうぶつがすき?」と尋ね、「白いライオン」と言われたので即座にググり、画面いっぱいにして見せたらとても喜んでくれて、お母さんは「まあうちの子がすみません」とおろおろしていたのだが、私はこの出来事がとても幸せで、将来は絶対子どもが欲しい、と思っていた。

しかし実際結婚してみて、というか婚約の段階から、「真面目に考えて直近で子どもが欲しいか」というテーマについて夫と論じていたとき、私は「あんまりいらない……」とずっと言い続けてきた。理由はいろいろある。まず、妊娠から出産までの様々な身体の変化に耐えられないんではないか、ということ。そして、育児をまともにできないのではないか、ということ。この2点が大きい。

まずつわりが怖いというのが一番初めの問題として出てくる。ほぼ全くつわりがない人もいるというのも知っているものの、大体の人が3ヶ月から長くて妊娠後期までつわりが続いて、病院で点滴生活というのも聞いていると、怖ろしいなと思う。私は昔から「吐く」ということが怖い、というかできない。妊娠中のことを友人に聞くと、友人も「吐きたいけど、吐き方がわからなくて吐けなくて、ひたすらベッドにいた」と言っていた。私がそれらのことに耐えられるかというと、全然自信がない。

友人達が子どもを育てるのを見ていて、どう考えても楽なことではない、ということが頭に刷り込まれてしまっている。子どもの夜泣きにしても、統合失調症を持つ私が睡眠を十分に取れないと再発リスクが高まるだろう。夫も12時ぴったりに寝て8時間睡眠をしないとすぐ体調を崩してしまうので、夫婦ともに身体が弱いことも懸念材料だ。

また、Twitterで母アカウントを見ると軒並みノイローゼ気味の人が出てきて、それに何万いいねがついていたりすると、「やっぱり大変なんだな」と思う。

一番危惧しているのは育児だ。3時間おきの授乳に耐えられる気がしないし、私はただでさえ身体が弱く、日中の活動時間が短いことも不安材料だ。そして何より、私は病気のせいでひとりで外出することができない。これも大きい問題だ。

「それでも自分の子なら可愛いだろう」と思うかと言えば、これだけ現実的に不安材料があって、可愛いとは思えないだろうな、と感じる。

最近は乳幼児を見かけても、可愛いと思えない自分がいる。それはおそらく、結婚して子どもをもつことができる状況になって、他の人の大変だった話・大変そうな話ばかり頭によぎってしまい、二の足を踏んでいるからなのだと思う。

実際子どもができたとして、今の夫婦としての関係がこじれないか、というのも不安材料だ。今私達はとてもいい夫婦関係を築いていると思うのだが、夫との関係がこじれる予感みたいなものも子どもをもつことを考えると出てくる。いっそ二人だけで生活していく、でいいじゃないか。それで幸せなのだったら。そう思うのである。そしてそれに、夫も同意してくれている。

この問題に答えは出ない。ある日突然子どもが欲しいと思うようになるかもしれない。でも、新婚の今の私には、子どもをもつことに現実味があまりないのだった。子育ての楽しみとか、幸せな瞬間はもちろんあるのだろうけれど、そのイメージが持てない。もし子どもをもつ楽しさや幸せさがあり、それを本当に味わうことができるのなら、それは子どもを産んでからだろう。私にはそのイメージを全然具体的に持てないでいるのだった。