28 zine講座

 「一緒に何かやりましょう」。春先のことだったか、コワーキングスペースを運営する友人からお誘いがきた。自分に何ができるか考えたときに、真っ先に思いついたのがzineにした『土に呼ばれて』に関することだった。「zineをつくるワークショップとかどうかな」「いいですね」「どうせなら今年の『zine it !』を目標に実際につくれたらいいよね」話はとんとん拍子に進み、梅雨の頃にほんとうにzine講座を担うことになった。

zine講座のチラシ

 定員8名のこぢんまりとした講座で、全4回もある。通しで参加してくれる人なんているのだろうかと自信がなかったが、蓋を開けてみたらほとんどの人が全4回通しでの参加を希望してくれていた。当日はわたしの説明もそこそこにワークとそれを共有してワイワイ話す時間を多く取った。

 参加者の皆さんはそれぞれユニークで、つくりたい内容が最初から固まっていてさらにアイデアが止まらない人から、あまり思いつかない人まで、まちまちだった。中には過去につくった手製本を持ってきてくれた人もいて、その本の組み方がとても素敵だったから、みんなで「つくり方を知りたい」というリクエストをして、即興の組み方講座をしてもらった。

 回を重ねるうちに、「試しにつくってみました」とコンビニで印刷したzineを披露してくれる人も現れた。おひとりは書きためてきた詩を一冊に、おひとりはボードゲームの世界をzineで再現したような、実際に遊ぶことのできる一冊を、おひとりはご自身の撮った写真に短文を添えたものを持ってきてくれた。どれもそれぞれ素敵で、ひとつひとつが胸に響いた。

 最終回にはみんなで集合写真を撮り、預けていた息子を迎えに行かねばならなかった私は早々に会場を後にしたのだが、その後もみなさんは残っていて、講座終了後も週に1度ほどの間隔で集まり、zineをつくるもくもく会を開くことになったみたいで、実際に毎週やっているようだ。9月には延岡で小さなイベントを開くことにしたらしい。

 畑をやることにしてから、たくさんのつながりが生まれた。こうしてつながりがつながりを呼んでいくことが愉しい。わたしが畑をはじめたことは、植物が種子を土に落とすことと同義だったのかもしれない。