交換日記 テーマ:「食にまつわるエロス」

担当:さとみ

・この企画が始まった経緯

閒のもえさんと話をしていて、『食にまつわるエロス』について交換日記をしてみるの、面白そうじゃないですか、とどちらからともなくそういう話になり、今回の「交換日記」という企画が実現しました。

交換日記の想い出と言えば、所謂私たち世代(アラサー、アラフォーあたり)では、交換日記用のノートに様々な色や香り付きのペンを使って字や絵を書いたり、シールを貼ったりしていた記憶があるのではないでしょうか。内容は恋バナや授業の愚痴、友達の噂話を書いたりと、当時の私たちの「日常のコラージュ」づくりでもあったわけだけれども、大人になってまた違った形でそのような機会に恵まれるというのは大変嬉しいというか、とても楽しみです。

実は私もかつて仲の良かったインターネットの友人たちと大人になってからノートをシェアして、レターパックで送り合うという形で物理交換日記をしたことがあり、とても豊かな体験だったのでそれもやってみたい気持ちがあるのですが、今回はオンラインでやっていくのもまた一興という想いからこの文章を書いています。どんな風に企画が展開していくのかは、私も分かりません。どうぞお楽しみに。


・『食にまつわるエロス』

やあやあ。交換日記に参加してくれるみなさん、お元気ですか?今回私の企画に参加してくださりありがとう。私が食にまつわるエロスを感じた瞬間ってどんなときだろうなぁと逡巡しているところです。まずはエロスとはなんぞや、という定義から遡っていこうかなとも思ったのですが、今回はそれはせず、「なんとなくこの場ってエロティックだなぁ」と感じた瞬間についてつらつらと書いていこうと思います。今回は食というより酒の席という場について書きますが、ちょっとテーマから外れるのもご愛嬌ということで。

あれは下北沢のカジュアルなバーでの出来事でした。行きつけにしていた私は、いつものようにそのバーに赴き、常連さんや新規さんと話ができるのを楽しみにしていました。しかし、店は珍しくバーテンさん(けいちゃん)一人がぽつんと居るだけで、客は私一人のようでした。店に入るなりけいちゃんは「お、さとみちゃんいらっしゃい~」と私を迎えてくれました。「アマレットジンジャー甘め下さい」と言ってカウンター席に座ると、店内で2人きりであるというこの状況に私は少し緊張していました。

私は普段お酒を一杯、ソフトドリンクを一杯頼んで楽しく話して帰る客なので、店の回転率的にはあまり上客とは言えなかったでしょう。それでも嫌な顔ひとつせずいてくれるのがけいちゃんでした。私はけいちゃんとふたりきりの店内でなんとなくアイコスを吸いながらぼんやりしていたのですが、ふと目が合ったときに、こう言われました。「さとみちゃん、バーで周りに気づかれないように手を繋ぐ方法って知ってる?」と。「わかんない、普通につなぐじゃだめなの?」と返しました。「それだと周りのお客さんにバレちゃうでしょ。やり方を教えてあげようか?」そう言ってバーカウンターから客席側に歩いてきたけいちゃんは私の左側に座って、互いの背中側で手を組んで「ほら、これだとバレないでしょ?」と言って私の眼を見つめました。

けいちゃんはそのバーの中でも顔の造作が綺麗な男性で、手が触れている状況に私は妙にドキドキしてしまい、なんだかちょっとぎこちない感じでいたように思います。「はい、おわり」とでも言うようにけいちゃんはにっこり笑ってバーカウンターに戻り、私はなんだか急に恥ずかしくなってアマレットジンジャーを飲み干し、いつもならソフドリを頼むのですが、「けいちゃん、なんか青っぽい綺麗なカクテルをつくってください」と勢いあまって言ってしまいました。下戸の私は普段は2杯目にカクテルを頼んだりはしません。「はいよっ」とけいちゃんはにっこりしてカクテルを作ってくれました。青色のリキュールが底の方にかけてグラデーションをつくり、カクテルの上にはきらきら光る何かがのっていたことだけ、はっきりと覚えています。

その夜がどんな風に終わったか全く覚えていないのですが(終電前に帰ったはず笑)、そういえば私が好意を持っていて、このノリが通じそうな男性には、この「バーで気づかれないように手を繋ぐ方法知ってる?もし嫌でなかったらやってみる?」という質問を投げかけて、居酒屋でもビアバーでも実践していたことを思い出します。

今思うと小賢しい女だった気がするけれど、初めて相手の身体、それも手や指が触れる瞬間ってドキドキするなぁと思うし、貴重な体験をしたなぁ、と今でも思い出すワンシーンなのでした。(ちなみにどうやって手を繋ぐのかというもっとも重要なその方法についてはすっかり失念しました笑)。

相手の身体に触れる・触れられる、というのは酒席ではよくあることだと思いますが、酒席でなくても、例えば美容院で髪の毛を美容師さんに触られたり、シャンプーをされたりというのもある種のエロティックさを感じる行為だなぁ、と書きながらふと思いました。

なんか「食」にまつわるエロスというより「酒」にまつわるエロスという感じにテーマが一発目からぶれておりますが、テーマぶれぶれでも大丈夫なので、次の人にまわしてみようと思います。

さて、次はもえさん、よろしくお願いします。読んで書いてしてくださる方々は、コメントとか気になったこととかに言及してもらえると嬉しいです。じゃあ、ここでバトンタッチ!