昨秋に植えた赤大根やラディッシュをものぐさで放置していたら、次々と花が開いた。赤大根は白、ラディッシュは薄桃色の花で、わたしはいずれも初めて見た。およそ2カ月ぶりに畑へ来たものだから、周りには草がわさわさと茂っている。夏野菜を植える準備をするためにカマで草を刈ると、カエルがぴょこぴょこ飛び出した。
「カエルがたくさんいるよ」と、この春に小学3年生になった息子に声をかけると、幼い頃はあんなに虫好きだった彼が、逃げるような仕草をした。「カエル、きらい?」「うん、気持ち悪い」。そうか。「ミミズ(触ると)きもちいいよ」と言っていたのはつい2年前のことなのに、思えば遠くへ来たものだ。
草の中でも特に多いのはカラスノエンドウだ。3月に行った「『土に呼ばれて』を聴く会」に来てくれ、ご自身もわたしと同じ市民農園で畑をはじめた知人と出くわすと、彼女は「カラスノエンドウは食べられるらしいよ」と教えてくれた。その人は、有機や在来種のタネについて、野草の活用についてなどいろいろと情報を集めているのをわたしにも共有してくれ、わたしも興味深く聞いている。
そんな知人の影響もあったし、前から関心もあり、ものぐさな性格も手伝って、今年は不耕起栽培に挑戦することにした。いつかタネにもこだわってみたいが、まあ今年はいいだろう。2年畑をしてみて、植物の強さを感じる局面は何度もあった。きっとこのまま植えても育ち、実をつけるだろう。今年はミニトマト、オクラ、ピーマン、丸ナスといった常連メンバーに加え、ゴーヤとホームセンターでなんとなく目についたチョロギを植えた。
畑通いの再開だ。苗周りの草をちょこちょこ取り、じょうろで水をやる。芋の芽と何かわからないがたくさん出ている芽はそのままにしている。赤大根には実がつきはじめている。2色の花々を手折って、贈り物にした。隣の畑には麦の秋が来ている。