夫と私のよもやま話vol.2

前回のよもやま話が中々に好評だったので、調子に乗ってまた第二弾を書く。実は、夫と私がどういう風に自分のできない・苦手なことをお互いに共有し、どううまくやっていくかの工夫について知りたいという有難いお声も頂いた。私と夫ネタはこれからもちょくちょく続いていくかもしれない。

基本的にだが、私達は「ありがとう」と言いあうことがとても多いように思う。少なくとも私は今まで付き合ってきた人の中で、一番多く「ありがとう」と言う。

私は家事が苦手だ。苦手というより、着手するまでにすごく時間がかかる。一方夫は家事を瞬殺してしまうタイプの人間だ。どうしても夫が先に手を動かしてしまう。

そこで、夫がちょっとした洗い物をしてくれたら「あらぁありがとうねぇ」、机を拭いてくれたら「綺麗にしてくれてありがとうねぇ」と言う。私が家事をするときには逆に夫がすごく感謝の言葉を伝えてくれる。この間はラップを皿から剝がしたら「ありがとうねぇ」と言われたのでそこまで言わんでもいいのではと思ったけれど、「ありがとう」はいくら言われても嬉しいものだ。

例えばご飯を夫が作ってくれたときに「おいしいねぇ」「おいしいねぇ」と食卓で言い合うのだが、「たーちゃん(夫)、美味しいご飯つくってくれてありがとう」「たーちゃんの作ってくれるご飯は何でもおいしいなぁ」と本人が私にしてくれたことや料理の出来を褒める。これは別に相手にいい気持ちになってほしいからという理由だけではない。相手が何かの家事をしてくれたとき、それを当たり前のこととは思わないでいたい、という気持ちの表れからだ。「たーちゃんのおかげだよ、ありがとう」と言ってにっこりすると、相手もにっこりして「いやいやこんな些細なことはいいんだよ」とか「さとみん(私)が喜んでくれてよかった」と言ってくれる。気持ちのいいコミュニケーションを取れるように心掛けていることのひとつは、感謝の気持ちを言葉や形にして表す、ということだ。

 また、新婚だから仲良しだというのもあるだろうが、我々も稀に喧嘩をしてお互い険悪なムードになることもある。そんなとき、「ごめんね」と言い合うも、何となく夫とは気まずい雰囲気になる。狭い家ながら物理的距離もできてしまったりする。そんなとき私がこの間したことは、彼に「手紙を書く」というものだった。別に同居しているのだから、わざわざ手紙を書く必要はないだろう。でも、さっきは本当にごめんね、優しくフォローしてくれてありがとうね、といった様々な思いを、手紙にして、プレゼントしたことがあった。夫はものすごく喜んでくれて、関係は改善し、その手紙を二人のスペースに飾ってくれている。こういったコミュニケーションの工夫も、私にとっては大切なことだなと思う。

私は夫の顔もとてもタイプなので、「たーちゃんは本当にかっこいいなあ」とよく言う。すると夫も夫で「さとみんもかわいいよ」と言ってくれる。「いーや、たーちゃんの方がかっこいいね」「さとみんの方がかわいい」とか、そんな応酬が毎日のようにある。やはりバカップルである。だがこういう褒め言葉のシャワーをお互いに浴びあうことで、少なくとも彼に関しては、外見が私と出会った直後から別人のように変わった。ずいぶん痩せたし、化粧水を塗るようになったので肌もすべすべになった。1000円カットで済ませていた髪型は私と一緒に美容院に行くようになってすっきりと男前になった。着るものや身につけるものも私が大体選ぶようになって、職場の人複数名に指摘されるくらい、本当にかっこよくなったのだ(勿論色眼鏡は随分と入っていると思うけれど。そして逆に私は幸せ太りをしてしまったのだけれど)。

要は、相手のありように感謝し、そして嬉しいポイントで褒め、相手が喜んでほしいという気持ちを全面に出すことが、我が家の円満の秘訣だと思う。

また、私が外出先で発作を起こしたとき、夫は「ゆっくりでいいからね、お茶飲んでお薬飲もうね」と言ってくれるが、過剰に心配はしない。もう慣れているからかもしれないけれど、「私はそういうもの」だということをよく理解してくれている。これは年月がそうさせてくれたものだ。背中をさすられたりするのが私はすごく苦手で、とにかくじっとして発作が収まるのを待つことが私にとっては必要で、それを自然とわかってくれている。こういうひとつひとつが私には嬉しいし、「さっきは(発作が出て)ごめんね、ありがとうね」と言うと「さとみんが謝ることではないよ、大丈夫だよ」と言ってくれる。

最初付き合いだしたころはそんなでもなかったのだが、二人の時間が積み重なっていくにつれて、夫は私をお姫様待遇してくれるようになった。この間出先で私がもたついていたら「ゆっくりでいいんですよ、お姫様」と言われたり、そういった一言ひとことが嬉しい。

また、外出するのが難しい病気を持っている私とずっと部屋の中で土日を過ごしていると、どうしても日常がマンネリ化してしまう。「なんかキュンキュンしたいなぁ」と私が言うと、「夫婦 キュンキュン」で検索するようなのが夫だ(逃げ恥のヒラマサさんかとつっこみたくなる)。それはそれで面白くていいのだが、この前話し合っていて出たアイディアが、ちょっといいお菓子をお取り寄せしておいて、落ち着いたジャズなどを流しながらいい食器を使っていい茶葉で紅茶をいただくというのを月イチくらいでするのはどう?というものだった。おうちカフェのようなもので、これはまだやっていないのだけれど、私が外出できないでマンネリ化しつつある日常をお互いにゆったりと平穏に過ごすことができそうで、期待している取り組みである。

ひびが入りそうになったらそこでちゃんと絆創膏を貼って関係性を修復して、元気なときはわーいわーいと声に出して二人で喜び合い、毎日に感謝しつつ、マンネリ化しないように二人で工夫すること。こういった積み重ねが今の私達を作り上げている気がする。そして私がこうして自由に文章を書くことができているのも、彼のやさしさの傘の下にいるからかもしれないとも思う。この関係性をこれからも大切にしつつ、もっと良い夫婦になれるといいなと将来に期待している。