閒の日々 長月号


株式会社閒(代表取締役: 鈴木悠平)が行う事業報告や会社づくりのプロセス、閒に集う人たちの語り・営みをご紹介する、「閒の日々 長月号」をお届けします−−。

▼地域通貨とコミュニティの可能性をテーマに月例会を開催しました。

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9月の月例会では「地域通貨とコミュニティ」と題して、①こういう時にコミュニティ通貨があると便利 ②コミュニティ通貨があったら閒でやってみたいこと をワークショップ形式で話し合いました。

思いのほか、各方面から多様な意見が交わされ、早速、閒の中でも少しずつ実装に向けて動き始められそうです。

いくつか出てきたアイデアをご紹介します。

■コミュニティ内メルカリ的に使う

見ず知らずの人に売るのは思い入れがあって悲しいけれど、知っている人や価値観が合いそうな人になら譲りたい。そんなモノがあるときに、コミュニティ通貨を介して受け渡しができると嬉しいな、というアイデアです。

■何か実験的な企画をする時のメンバー募集に使う 

通貨を介すと、なんとなく頼みごとがしやすくなる。実際の貨幣にもそんな側面がありますが、リアルなお金を払う前提で予算を立てるには難しい…というような実験的な企画では、コミュニティ通貨の方が便利かもしれません。

■気持ちや関わりの可視化ツールとして使う

お金をもらうつもりではないし、むしろボランティアでいいんだけど、というようなお仕事をしたときにも、頼んだ側の感謝の気持ちを表す意味でコミュニティ通貨が渡されると、ちょっと嬉しい気持ちになるかも、という意見も出ました。

この他にも、たくさんの意見が出て、どれも実現できたら楽しそうだなというアイディアばかりでした。

まだまだ、実験段階ではありますが、閒のコミュニティの中で企画や交流をする際に、少しずつ導入していければと思っています。

▼閒のコミュニティ内でのイベントとして、すでにこんな企画が形になっています。

◉9月6日(日) よむ、きく、あじわう 絵本のせかい #1『ぐるんぱの幼稚園』

ぐるんぱの幼稚園

大人になってから絵本を読むって面白いよねという声かけのもと発足したプロジェクト。輪読会のような形でオンライン上で開催されました。皆さんの最初の一冊を共有して、会は始まりました。


大人になったからこそ気付く、絵のタッチの凄さ、ぐるんぱが二足歩行しているのはすごい、ぐるんぱの繊細な心情など、気づきがたくさんありました。


◉9月20日(日) 映画「プリズン・サークル」を語る会

日本の刑務所の中にカメラを入れて、受刑者たちによる自助グループ的な取り組みの様子を追ったドキュメンタリー映画「プリズン・サークル」。


閒のコミュニティメンバーからも「観たよ!」「観に行く!」「語りたい!」という声がたくさん挙がったので、有志で集まって感想を語り合う会を開くことになりました。


参加者からの感想を一部共有します。

「自分の被害経験というか、辛い・しんどい過去を振り返って外に出すって、すごくつらい作業だなって、今更ながら思います。」

「違法薬物を使う人と使わない人の差は、逆境の数と孤立感の強さと言われています。それだけの差で、誰でもそうなり得るんですよね。」

「犯罪をする人とそうでない人はどう違うかと問われれば、きっと何も違わないと答える。」


毎月、このような形で小さくではありますが、閒ならではのプロジェクトが始まっています。参加してみたい、閒が気になるという方は、コンタクトフォームからお問い合わせください。



▼お知らせ

閒の主宰、鈴木悠平が企画・登壇・出展するイベントの予定です。ぜひお気軽に覗いてみてください。

◉2020/10/10 14:00-15:30 Zoom開催 「ヨシダ、ハカセになったってよ」https://www.facebook.com/events/419287259035090

◉2020/10/16-2021/03/07 「トランスレーションズ展 −『わかりあえなさ』をわかりあおう」に、清水淳子さんとのユニットで参加作家として出展します。

http://www.2121designsight.jp/reservation.htmll

◉2020/10/24 Intermediator Forum 2020 13:00-

「 相互にエンパワーしあうデジタル・メディア環境 — ‘とどけるプロジェクト’を事例として — 」

https://www.worldmaking.jp/events/intermediator-forum-2020

◉毎週月曜20:00-20:45 「とどけるラジオ」 配信中

https://www.youtube.com/watch?v=mLLpjrn_MxA&feature=youtu.be

閒の日々 文月号

株式会社閒(代表取締役: 鈴木悠平)が行う事業報告や会社づくりのプロセス、閒に集う人たちの語り・営みをご紹介する、「閒の日々 水無月号」をお届けします−−。

六月は、徐々にSlackチャンネル内でも各々の言葉が紡がれ始めた一ヶ月となりました。そんな閒の様子を少しお届けしたいと思います。

▼LITALICO社内報が完成しました

コロナの影響もあり、なかなか思うように進まないこともありましたが、取材・制作を経て無事完成しました!

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▼単著『弱いままでも生きていける(仮) は8合目くらい

8月には、晶文社さんからリリース予定。届け方も工夫していきたいので、みなさんにご協力をお願いすることもあるかと思います。どうぞよろしくお願いします。

▼月例報告会では、Spatial Chatというツールを使ってみました

通称スペチャと呼ばれているSpatial Chat(https://spatial.chat/)を用いて月例報告会をやってみました。このツールは、近付くと音声が大きく聞こえ、離れると小さくなるといった、リアルな場での交流を再現したような体験をすることができます。ブラウザ上で密になりながら、報告会を実施。まだ、画面共有の画質や音声のラグなど、改善点はありそうですが、使い方次第で、オンライン交流会の可能性が高まりそうだなと感じました。

▼7月はこんなことをしていきます

-書籍の仕上げを猛烈にがんばる

-「とどプロ」も旗を立てる月!ファンディングもがんばるよ

-OPEN LABのアニュアルレポートを仕上げて一段落

-月末でLITALICO退社(有給消化中) はじめての証券口座

-アクセシビリティ研究を本格的に進めていきたい

-大学院出願は過ぎちゃったので4月入試に向けてじっくりと


▼今月の悠平文庫

田中靖浩『会計の世界史』

https://www.amazon.co.jp/dp/B07HY3TMQT/

内山力『「ビジネスの常識」が一冊でわかる本』

https://www.amazon.co.jp/dp/B00ICHRNYY/

東藤泰宏「ひとと企業のplaybook」

http://apartment-home.net/playbook/playbook00/

東藤泰宏「世界を変えさせないでおくれよ - 僕たちは誰のために働くのか」

https://litalico-c.jp/magazines/15

小さな会社をつくろうとおもう

小さな会社をつくろうと思う。

とはいっても、まだ法人形態など細かいところは決めていない。その辺は、手を動かしながら考えて決めていこうと思う。

これまでも個人ワークで使ってきたが、屋号はもう決めている。

「閒-あわい-」という。

閒-あわい-を掬う

ひと・もの・ことのあいだー閒(あわい)に横たわるなにかを見つめること

答えではなく問いから、ひとりではなく複数で、
関係の網の目の一員として、ことばの芽生えに立ち会うこと

歴史と風土、組織と文化、強固なものとやわらかなもの、その間隙

構造をときほぐして、新しい経済圏を差し込み、定位させること

奔流の中で生きる個人の生を肯定すること

「わたし」の物語から、「わたしたち」の物語を織りなすこと

大海を横切る小川の一筋としての、倫理を紡ぎ直すこと

鈴木悠平(SUZUKI Yuhei)
文筆家/インターミディエイター®(Writer/Intermediator®)

そういうことをやっていこうと考えている。

・鈴木悠平自身の文筆・研究・表現のマネジメントとプロデュース
・さまざまな個人・団体との協働プロジェクトのマネジメント
・そのあいだを結ぶ、思想と対話の苗床となるウェブサイト&コミュニティの運営

ざっくりいうと、この3つが当初のメインになると思う。

いま現時点でも、副業自由の立場で、LITALICOに正社員として所属しながら(社内でもいろいろ同時並行)、個人の文筆活動、その他さまざまな個人・団体の相談に乗ったり仕事を一緒にしたりしているわけで、今後も、多くはお付き合いが続くだろう。たぶん一般的にイメージするところの「起業」や「独立」とは少し違うかもしれない。

自分がより善くあるため、大切なひとやことにより善く向き合うために、少し軸足を変える、体制を整える、といったイメージだ。

一昨年、体調を崩してからいまに至るまで、単に休んで元気になる、以上に複合的で複雑な回復の「プロセス」を歩んでいる。改めて自覚したこと、新たに発見した自分の特性やパーソナリティ、どんなときにより良い形でエネルギーを出すことができるか、などなど…

日頃、LITALICOで一緒に働く仲間たちとは、障害は「個と環境の相互作用」なのだという前提を、どんな場面でも、常に、繰り返し意識し、言葉にし、対話をしてきた。

これは、自分自身に対しても同じことなのだ。僕がテーマとしている領域では特に、自分自身の状態が、相手にも大きく影響する。

自分が自分らしくあることが 世界との接続・対話を可能にする。

そのためには、問いと思索のための余白が必要だ。
そして、仕事においては、「できる」ことにフォーカスし、「できない」ことを適任者に手渡し、「できるけど疲れる」ことを最小化することが大事だ。特に僕は、がんばって「できるけど疲れる」ことも抱えすぎることで、自分を消耗させてしまうことが多かったと思う。

僕が他者に、世界に提供できることはなんだろう。それはきっとこういうこと。

・問いを立てること
・言葉を紡ぐこと
・場を開くこと
・関係の網の目を構築すること
・新しい物語を編みなおすこと
・循環のための人と組織と文化醸成にかかわること

組織や団体、事業やプロジェクトに関わるにあたっては、立ち上げor変革期or危機のタイミングでグッと出て、安定/拡大期に入った仕事は手放す、ということが大事だ。そのためには、「所属」とその中で「仕事をし続けること」が自己目的化することのないよう、立ち位置と、経済的インセンティブをうまく設計しなおす必要がある。いまでもかなり、自分に合った働き方をさせてもらっていると思うけど、より一層健全に協働していくためにも、ひとつ自分の会社というか、足場をつくっておいた方が良いと考えた。

・生活の中で、思索と文筆があり、そこから「仕事」が立ち上がってくるという順番・比重を大事にすること
・問いからスタートし、コミュニティをつくりながら共同学習を進め、必要なフェーズでファンディングを行い、研究・メディア・プロダクトといった形で知見を公共物にしていくこと
・「仕事」だけでなく、家庭や地域での暮らし、購買、寄付、政治参加etc.あらゆるレイヤーにおいて、小さな社会・経済圏を具体的に変容させていくこと

そんなふうに動いていきたいと思う。

自分を、この世界において、あるいはあなたとの関わりにおいて、十分に活かしていくためにも、問いと思索のための余白が必要なのだ。

フリーランス的に自分でなんでもやるのではなく、バックアップしてくれるひととチームを組みたいと思ったのは、そうしないと「余白」が作れないから。

・健やかである
・余白を持つ
・本・論文を読む
・芸術作品や現場にふれる
・アウトプットする習慣がある
・アウトプットを次の価値に繋げる経路や文脈がある
・相手のことをよく見る
・自分自身の判断・価値基準を意識してキャスティングができる
・そのための選択肢・ネットワーク・情報源がメンテナンスされている

こういう、「仕事」以前の時間と環境づくり。

桂大介さんに、サイト制作をお願いしている。単なる自分のためだけのプロフィール・ポートフォリオサイトというより、小さな、バズらない、静かなメディア・コミュニティとして、僕もそこで日頃書いたり考えたり、友人たちのことを紹介したり、友人たちにもちょっと書いてもらったり、オンライン・オフラインでそれを起点に対話や探求をはじめたり…そういう思想の苗床として。「仕事」とか「お金」は、あとから気づいたら立ち上がってる、ぐらいで良い。

というわけで、ひとまずのメモ書き、静かな宣言として。
具体的なことは、こんな感じで連載しながら、みんなにもアドバイスもらいつつ、ちょっとずつ整えていこうかなとおもう。
日曜大工、DIY起業的な。トンテンカンテン。あるいは粘土こねこね。

せっかくなら消費されない受発注を。パラレルワーカーにとって理想的なアシスタント/パートナーをどう考えるか

アシスタントを募集しようかな、と思っている。

ということを、何度かつぶやいてはいるものの、それは「アシスタント」という呼び方が適切なお仕事なのかどうか、またそれが1人なのか、複数なのか、どういう依頼の仕方が良いか、などなどを考えたままぷかぷか浮かしているのが現状である。

このnoteは思考の整理も兼ねたアレです。あわよくばの求人的なアレになるかもしれないけどならないかもしれないアレです(こんな書きぶりで手を上げてくれる人がいればとても嬉しいね)。

僕の仕事が一定の枠組みとリズムで安定しており、「アシスタント」と呼ばれる人に求める業務や待遇が明確であればよいのだけど(たとえば、基本的に漫画一本でやっていってるプロの漫画家さんで、抱えている週間連載を2本回すのにこういうスキルレベルの「アシスタント」が常時何人必要です、みたいな感じ)、いかんせん僕は、業種不定所在不定の浮浪者スタイルで働いているもので、継続反復的に発生する業務も散発的に発生する業務もあり、それをどのタイミングでどういう人に渡していけばみんなハッピーなのか、というのがなかなか難しいのである。

勤務先を含めて複数企業・複数プロジェクトにかかわっていて、溢れたタスクを各社のチーム内で吸収してもらうか、僕が自分の可処分所得の中で更に外部に委託していくか的なラインの判断の難しさ、である(ゆくゆくは、個人プロダクションの延長で、スタジオ的な存在を法人化していったほうが良いのかとか、まぁなんかそういう先々のことも念頭に置きつつ、思案)。

これはつまり、パラレルワーカーにとって理想的な業務アシスタント/パートナーとはどんな人か、あるいはどんな風に業務分解して複数人にお願いするのが良いのか、ということなのかもしれない。そういう問いに換言すれば、僕と同じような悩みを抱えている人は他にもいるように思う。

なので、基本的にはごくごく個人的な思考の整理ノートなのだが、読んでくれた物好きなみなさんにも参考になる一定の普遍性を意識しながら、書く。でもまぁ、僕の仕事に興味がない人は次の章だけ読めば良いと思う。

受発注をどう考えるか。短期的な効率性と、中長期的な持続発展性

まず、受注・発注関係における僕の考え方を棚卸ししておきたい。比較優位の原則、育成・習熟・関係構築による持続発展性、雇用創出、いかしあうつながりetc.がキーワードとなろうか。

結論から言うと、僕が色々やってるお仕事の一部を、「特定多数」の人に、なるべく「継続的に」、「入れ替え可能性」はちょろっと担保しながらお願いして、仕事創出やキャリア開発の機会に出来ると良いなと思っている。僕も助かるし、その人にとっても良い機会となる、という案件・関係がほとんどである、という状態をつくりたい。

各社・各プロジェクトごとの個別最適で考えると、現時点でその業務を依頼できる人のなかから、「より安く・より早く・より品質良く」できる人に発注するのが一番良い、となる。もちろん、この3つは基本的に同時成立し得ないトリレンマであるので、予算や納期とも相談しながら優先順位付けして、「今回は(も)この人に」と、発注の意思決定をするのが通常である。

企業A内のプロジェクトXに一定期間携わる中で発生するタスクは大きく

1)自分がやるべきやつ
2)チーム内の他のメンバーがやるべきやつ
3)自分やチームメンバーでも出来るし、短期的には中にいる自分たちでやったほうが早いけど、数が積み上がってくると大変だし、他の人にお願いできると助かるなー、というやつ
4)最初から外部への発注想定で走らせるやつ

に分けることができる。

もちろん、この1)〜4)の区分けも、ある時点を切り取ったときのものでしかなく、時間の流れの中では流動的である。4)の仕事を依頼していた人たちのうち、○○さんは一番筋が良いし、波長も合うし、他の業務もできそうだし、と社員として採用することもある。2)で活躍していたメンバーが独立したけど、業務委託で引き続きお願いする仕事が一部残る、ということもある。パラレルワークを前提とすると、そういうことが常時各地で起きるということだし、実際に起きている。

ただ、取り急ぎ「受発注関係の最適化」を考えるにあたって、一番悩ましいのは3)に該当するタスクだろう。業務への慣れや習熟だったり、人間関係の近さだったり、社内イントラへのアクセスだったりが参入障壁になって、「いろいろ書類取り交わして外注できるようにするのめんどくさいし、もう俺がやったほうが早いわー」という感じの業務。一個一個の難易度も工数も大したことないけど、放置しているとボディブローみたいに工数を圧迫する系のものだ。

特に、僕を含めパラレルワーカー的に働く人は、複数企業・複数プロジェクトとの関係の中で、ポロポロこぼれている3)的タスクをちょっとずつ地味に善意で拾ったりしていると、「あれー?思ったより自分の時間がないぞー」的状況に陥りやすいと思う。困ったな。

どんなオペレーションも、マニュアル化・仕組み化・自動化を進めることで一定属人性を低減させ、人を選ばず依頼しやすくはなるが、それでも、そのオペレーションを回すこと自体の習熟度の差や、周辺業務との連携やイレギュラー時の報・連・相をスムーズに進めやすい人間関係の構築など、属人性はゼロにならない。

ゆえに、同じタイプの仕事を同じ人が継続的にやった方がお互い効率的だよねという当たり前の現象は、雇用であれ業務委託であれ、本業であれ副業であれ一定発生する。一定規模のある企業体であれば、専門分化した部署をつくり、そこに人を採用し、育成していけば良い。企業や事業が存続し、成長を続けている限りはその分業体制を維持できる。

一方、お互いの自由意思に基づくゆるやかな連携・分業を建前/前提としたギルド的、パラレル的な働き方のネットワークではどうか。どんなふうに業務を融通しあい、個々人に一定のスキル習熟が果たされつつ、いざというときに自由に着脱可能な余白ー入れ替え可能性を残した状態でバランスするのか。メンバーシップ型の企業体よりは難しいパズルだと思う。

少なくとも、「とにかく安いとこに外注すりゃええねん」みたいな発想には立ちたくない。そういう買いたたきを繰り返していると、業界が、経済圏全体がやせ細っていって、いつか自分たちの首を締めることになると考える。

自分が携わる仕事の過程では、かかわる人たちに(お金の適正さはもちろんのこと)スキルや経験、ネットワーク等の資産が積み上がるようなやり方をしたい。消費する/されるのではない健やかな受発注の循環をデザインしたい。なるべくは。

こんなことをいつもぼやぼや考えているから、「時給xxxx円で、週○時間でアシスタントを1人、募集しまーす!」みたいな明快な求人をいつまでも出せない。困ったな。

フォーカスすべきことにフォーカスするために

書いている当の本人はどんなふうに働いているか。企業での社員として雇用、その他複数企業・NPOに業務委託でかかわり、それらの案件以外でも個人プロジェクトとして執筆活動、というパラレルワーカー。

それぞれ異なりながらも近しい領域であるので、自分の持っているスキルや、人的ネットワークが掛け算で良い作用に働きやすく、また時間と場所もかなり自由がきく立場でやらせてもらっている方だ。

企画・対話・問い立て・執筆・言語化を強みとして領域・職能のあいだをつなぐような役回り。

処理速度は早いほうだが、興味のないことは極端に腰が重くなる。好きな仕事であっても、完璧主義気味なところがこだわり・溜め込みグセとなり、まあまあに遅筆である。ギリギリにガッと企画書とか講演資料つくるみたいな、いつもお手玉してる感じ。

自由に自分で決められるとはいえ、当然ながらそれぞれのお仕事で決めた目標や役割や納期はあるので、常に複数ラインがダーッと走っているわけで、繁忙が重なって、ガッとつくらなきゃいけない重ためのタスクが列をなすことがしばしば。そういうときに細かいタスクがあると、思考と作業の邪魔をするので、そういうのをあまり溜め込まないためにも、そろそろアシスタント的な人と一緒に働いたほうが良いのではないかと感じている。一個一個は小さいのだけど、重なると時間を取られる、という類のものをもう少しなんとかできないかと思う。

全体通して見ても、本当はもう少し早期からまるっと渡せたであろうタスクとか、請けないほうが良かったかもしれないものもあり、そのあたりの見極め、脳みそのメモリの有効活用を、自分ひとりではなく、パートナーとして支えてくれる人がいると助かる。

もっと自分のやるべきことにフォーカスしたいし、そのために可能な限りそれ以外のものを渡していきたいという感覚が強くなっているし、怠惰な自分がフォーカスすべきことにフォーカスするためのケツたたきも含めて、環境調整が必要だと思う。

渡せるものをほぼ全部渡せたとしたら、僕の手元には定常・定型の事務作業はほとんどゼロになるはずだ。じゃあ何にフォーカスすべきかというと、非定形・非線形の企画・執筆・制作活動となるのだが、それとセット、平時からの豊富なインプットを可能にする「ヒマ」を持て余すことが許されなければならない。

ときにはテーマと狙いをもって、時にはランダムに、読書・調べ物・旅・インタビューetc.のインプットをして、それらが、コンテンツとして単発のアウトプットに使われることもあれば、継続的なプロジェクトの中で、研究・執筆・企画・出版etc.の素材となることもある。傍から見ると遊んでるっぽく見えるかもしれないが、それが創作のための余白なのだと割り切って、それ以外の真面目な仕事っぽく見える作業を、全部思い切って堂々と他の人に渡していく、という勇気を出す時期なのだと思う。まぁそれが他者から見てもわかりやすいようにする必要はあるが。

短期的には、主宰しているOPEN LABと、なかなか進んでいないけどちゃんと進めねばならない単著出版の企画が、かなりの度合いインプット勝負かつ、マイプロジェクトとしても代表作になり得るので、これを形にすることが第一。並行して、ちょっとずつ、個人サイトのリニューアルも準備中。noteやSNSだとなかなか伝わりにくい、仕事の全体像と、日常的なインプット・アウトプットサイクルのための場、思想の苗床として、そこに集約していく。

中長期的には、日常的なインプットとアウトプットが、その都度なんらかのプロジェクト&パブリッシングに繋がる体制が作れると良いのだと思う。アシスタント、ないしパートナー的に必要としているのはコーディネーターと編集者。そして、さまざまな分野での表現者・研究者とのネットワークだ。

どんな人とチームを組みたいか

具体的にはどんな業務が想定されるか どういう人なら合いそうか。

①コーディネーター:
各方面との事務手続きやコミュニケーションを滞りなく、僕の手元作業を極小化しつつ進めてくれるような人。

メール、イベント告知、企画書etc.各種テキストドキュメントのたたき作成、一部はアシスタントとしてそのまま直接対応・処理したり、スケジュール管理、請求書、領収書、宿泊予約や精算、イベントやプロジェクトで誰かとさらに連携する際の業務依頼…などなど。あとは音源の文字起こしもちょくちょく(これは単発で切り出しやすいが)

まずは案件単価でいくつかお願いしつつ、慣れてきたら僕の日常的な動きや各種アカウントとの連携度合いを高めてもろもろ柔軟に拾ってもらいながら時給でのお仕事に切り替えていくのが良いか、というイメージ。

大前提、そういう事務局的動きが好きだったり苦にならない人。加えて、僕が仕事をしている領域への関心が高かったり、事務処理をする過程での僕や関係者とのコミュニケーションを通して自然とインプットをしていけるような人だと良いと思う。

時間には比較的融通が効くとが、オンライン・チャットコミュニケーションがなるべくスムーズな方が良い。

リモート可能。上記の前提条件が先にはなるが、せっかくなら、家庭や心身の事情で、外出してのオフィスワークが難しい方のお仕事にしていけると良いなと思っている。


②編集者:
個人付きの担当編集者的な人。

日頃のインプットを踏まえての、各種チャネルでの発信やコンテンツの提案、対話、その他いろいろ雑談刺激。やると決まったことのケツたたき、個人サイトやSNSなど、ゆるゆるやっているものをwebマーケ的にかわりに数字追っていったり、過去記事等の運用をしたり、そもそも個人メディアをどうしていくかみたいなことを一緒に考えたり、みたいな。

自分がパラレルで関わっている企業やプロジェクト、それぞれにも編集者的な人はいるのだけど、そうではなくて、総体としての僕の仕事や個人メディアをどうやってつくり、育てていくかを一緒に考えてくれるような、そういう人と出会いたいと思う。

世代が近く、分野が違いながらも問題意識が合って、ディスカッションも楽しいなという知己は多いるのだが、それぞれにまぁ多忙である。優秀な編集者というのは、一箇所だけで囲い込むのは難しいし、そうでないほうが良いのではないかという話にもなる。

ただ、このさき、自分の本を出したり、プロジェクトが増えたりして、もう少し僕個人の仕事が立ってくれば、ライフキャリアにおけるそれなりの時間を僕と一緒に過ごして伴走してくれる人が現れるかもしれないし、そういう人を自信を持って、また適切な待遇で迎えられるようにしたいとは考えている(シニアな人と駆け出しアシスタント的にやりたい人と、複数人の組み合わせ分担でやったほうが個々人にとってちょうど良いご依頼ができるかもしれない)。


③表現者・研究者:
これは、本記事の「アシスタント」的な話からはそれるので短くするが、上記①②の人に助けてもらいながら、今後ますますパラレルに、色んなプロジェクトをやっていくぞ、となったときに、さまざまな分野での信頼できる表現者・研究者とのつながりが非常に大事になっていくと思う。一定の相互理解と信頼のもと、それぞれに仕事をしているんだけど、たまに一緒に作品制作やプロジェクト参画ができる、そういう仲間を増やしていきたい。

短期的には、①のコーディネーター的な人と、まずは1人2人、業務委託でお仕事をお願いして、余白時間を少しでもつくる。ほんで、いい加減にちゃんと執筆を進めて本を出したり個人サイトのリニューアルをしたりする。それをPRしつつ、先行投資で編集者を募集する、みたいなことを考えている。個人サイトに仕事のポートフォリオや日々の思索の足跡を集約して残しておき、有機的につながるべき人とつながっていけるような循環をつくりたい。

企業の社長ともなれば「意思決定が一番大事だから、それ以外はほとんど秘書や部下に任せる」とかできるし、したら良いのだと思う。僕はそこまで偉くないのと、意思決定に至る前後の道筋も含めて関わり方が多様なので、そのなかでの良いやり方を考えなければいけないと思う。自分という企業を経営すると考えたときに、何にフォーカスして、どういうリソース配分をするかという話でもあるので、本質は同じことなのかもしれない。みんなはどうだろう?